「抗癌剤はもうやめる・・・」と親父は言った。
PET・CT検査の結果は、予想どおり肝臓に出来た癌は大きくなっていた。
もうひとつオマケで新しい癌もチョンと増えていた。
抗癌剤は効かなかった・・・と、医者もハッキリ言ってくれたようだ。
一応、お願いはしておいたのよ、医者にね。
抗癌剤を続ける意味がないのなら、そうハッキリ親父に言って欲しいと・・・。
残り少ない時間の中で、無駄な労力とそれによる体力の消耗は
避けれるものなら避けて欲しいと・・・思うわけ。
だから、「抗癌剤はやめる」と親父に言わせなければと思ってた。
親父がそう言わないと医者も抗癌剤をやめられない。
親父が「続けて欲しい」と言えば、医者は断れないからね。
それは親父が決めること・・・誰も勝手には決められない。
今月初めに僕はこの件で親父を説得しようと2回チェレンジした。
親父は口が裂けても抗癌剤をやめるとは言わなかった。
僕の提案する方法も「確かにそうだが、でも・・・」と納得はしない。
体調が悪くなったら抗癌剤を休むって約束させるのがやっとだった。
何故?医者がハッキリ抗癌剤は効かなかったと言わなかったからだ。
医者は言ってるつもりでも親父にはそう聞こえないから。
PET・CT検査の結果を踏まえて、今後をどうするか医者と相談する。
親父の決断の日が今日だった。
「抗癌剤はもうやめる・・・」
これが親父の最終結論だった。
「覚悟を決めればどうってことはない」と言っていたが・・・。
心境は複雑であろう。
少なくともここ半年の体調より、今後半年の体調の方が絶対良いはずだ。
さて、4年近く続いた癌治療はこれでお終いだ。
やるべき事、できる事はすべてやりつくした。
癌治療の途中で何度か命を落としかけたが、
奇跡的に乗り切って来たのだから、十分勝利したと思う。
後は、寿命が来るまで生きてもらうだけだ。
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