影響を受けた人の名前を上げたらキリがない。
偉大なアーティストから、名も無いアーティストまで...いろいろだ。
そんな中、一人あげるとすればブルース・スプリングスティーンだね。
初めて聴いた時は特に何も思わなかった。
UKロックのような斬新なサウンドってわけでもなかったし、
オーソドックスなロックだなって思った程度だった。
ところがその数日後にはすっかりハマってしまっていた。
詞の世界観にやられてしまったんだな。
そうこうしている内に、メロもサウンドも唄い方も、とにかく全部にやられちゃった。
そこから数年間はもう絶対的存在になってた。
Paggy'sAssociationってバンドをやってた頃は、格好からして成り切ってた。
当時の僕が望んだことは、ブルースみたいにやりたいってことだけさ。
曲も詞の世界観も...全て...。
特に詞の世界観とか、言葉の選び方はメチャメチャ影響を受けた。
もちろん英語なんてよくわからないから、訳詞を読んで影響を受けてたわけ。
三浦久さんがよく訳詞を書いていて、これがまた妙にしっくり来る。
この人、ボブ・ディランの訳詞もよくやってた人で、本職はフォークシンガー。
訳詞って、詞の才能がない人が書くと、なんだかなぁ~って感じになるのよ。
実際、訳詞を読んでイイなと思った事ってほとんど記憶にないからね。
僕は三浦久さんの訳詞に半分やられたようなもんだな。
訳詞は歌詞と違って、メロに乗せる必要ないんだよね。
だから、言葉数の制約も受けないし、言い回しの制約も受けない。
英語詞の意味が通じれば良いだけだからね。
三浦久さんが書いたブルースの訳詞の言葉使いとか当時の僕には新鮮だった。
正直、すごく影響を受けてると今更ながら思う。
例えば「ダークネス」と「邪悪な炎に身を焦がし」の歌詞なんて、
訳詞スタイルの影響だと自覚してる。
「ダークネス」
暗闇の中、おまえの影を追い
干上がった川の見える丘で
俺はおまえを待ちつづけた
孤独が親しげに寄り添い
俺を弱気にさせる
弱気にさせる
おまえが俺の前から消えた夜
何かが俺の中で弾け
俺はひどく混乱した
出口のない暗闇に迷い込み
俺はおまえの名を呼ぶ
おまえの名を呼ぶ
ダークネス、殺られるのか?
奪われた魂、失った生活
ダークネス、抜け出せるか?
ダークネス...
「邪悪な炎に身を焦がし」
俺はおまえの微笑みに魂を奪われ
まるで亡霊のように夜の暗闇をさ迷い歩く
おまえの放つ輝きは、まるで真夜中の太陽のように
そして俺は邪悪な炎に身を焦がす...
突然の嵐のように稲妻が俺を撃ち
邪悪な炎が俺を飲み込んでいく
おまえの放つ輝きに俺は目が眩み
おまえ以外何も見えなくなる
おまえの奏でる旋律に俺は打ちのめされ
抑えきれぬ想いに俺は倒れる
そして夜が来るまで
俺はおまえの居場所を探す
まるで亡霊のように
邪悪な炎が俺を焼き尽くす
それぞれ1番だけ載せたけど、こんな歌詞を書く人はそういない。
こんな硬い言葉の羅列をメロに乗せようなんて普通考えない。
どこか訳詞のような雰囲気漂ってない?
これが僕の中に刻み込まれた影響の証みたいな歌だな。
ちなみにいつもこんな歌詞を書いてると知恵熱が出てくるんで、
こういう詞はたまにしか書かない。
小竹博との初期のコラボレーションで「邪悪な~」の音源を制作しているが、
僕にとってはお気に入り音源のひとつだ。
この世界感をサウンドとしても見事に表現しているからね。
興味のある人はここで試聴できるのでどうぞ!
http://www.nextmusic.net/index.php?command=profmusic&profid=20020717022000
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